狼狽外伝1 〜買い物〜
2004年8月28日 連載私はシャル。パーティーの為のドレスをケイスの許婚のエレンブラと買いに、街に来ているの。
「うわーーー♪賑やかだねぇ。シャルさん!」
「そうね♪凄く活気に溢れてて、皆の顔も活き活きしてる。」
街の人はみんな笑顔が溢れてて、私の心はとても温かい気持ちになった。ケイスって上手く取り締まってるんだ……。視線を右に左にと泳がせていると、エレンブラが肩を叩いてきた。
「ちょっと、シャルさん。ドレス屋過ぎてますよ!」
「え?ああ、ゴメン!ちょっと目移りし過ぎちゃったみたい。」
「無理もないよ。カルナムールは辺境地帯の中じゃかなり活気付いてる街なんだし。」
エレンブラが言うには、王都から離れれば離れるほど、活気は減ってくるらしいの。物資の調達や人の流通が少なくなるから、らしいんだけど……。
「よし、それじゃドレス仕立ててもらお♪」
「うん!」
エレンブラは慣れた様子でドレスの仕立てを頼むと、まだ若干の時間が掛かるらしい…。私達はその空き時間を利用して、カフェで話す事にした。
「ね、シャルさんって見た目はすっごい若く見えるんだけど、実際は何歳なの?」
「え?私は21歳だけど……。」
そっか、彼女はまだ私が異世界「ギエルハイム」から来たって知らないんだっけ……。容姿は都合が良い様に15,6歳の頃の私に変えてあるんだった……。
「えーーー!?ボクより2歳も若いんだぁ。ビックリ!!でも、ボクなんかよりも随分大人な雰囲気だよね。恋愛もなんか凄そうだし……何より、その容姿で21じゃ、もはや犯罪だよね♪」
犯罪??私何か悪いことでもしてるのかな?
「私、何か悪いことした?」
「え?!アハハ、違うよ。シャルさんの見た目が少女っぽいでしょ。少女は法律で不純な事はしちゃいけませんよって事になってるから、実年齢が21歳って事は別に不純な事でも出来る、でも見た目はやっちゃいけない年齢に見える……だから、犯罪♪」
そう、なんだ。コッチは少女が体を交えるのは犯罪なんだ……。
私は漸くエレンブラの言葉の意味を理解すると、残っていたコーヒーをグイっと飲み干した。
「そろそろ、かな?」
エレンブラが店の時計に目配せすると、残念そうに呟いた。
「あれ?何か残念そう……。」
「だって、ボクもっとシャルさんの恋愛話を聞きたかったのに。」
「フフフ、それなら何時でも出来るじゃない。ケイスのお屋敷に一緒に住んでるんだし。」
「そ、そうだよね!よ〜し♪ドレスを取りに行こう♪」
納得がいったのか、エレンブラは急に明るさを取り戻すと、私の腕を引っ張って、ドレス屋に仕立ててもらっているドレスを受け取りに向かった。でも、私の話をもっと聞きたい……か。フフ、嬉しいな……。
「おう!お嬢ちゃん達!!これ、どうだい?今なら安くしとくよ。なんたってお嬢ちゃん達は美人だもんな♪」
「フフン♪そんな当たり前の事言っても、ボク達は買いませんよ〜だ。」
街の商人とエレンブラの会話を聞いてると、自然に笑みが零れて来た。こんなにアウヴァニアってあったかいんだ……。このまま……ずっと過ごせたらいいなぁ……。
「シャルさん!!」
突然のエレンブラの緊迫した声に私は我に帰った。何やら怯えている様子のエレンブラが指差した方向を見て、私は背筋が凍った。
「え?!……うそ……人が、倒れてる……。」
20代と見受けられる若い男の人が、路地の脇でうつ伏せに倒れていた。腰に剣を挿している所からして…どうやら剣士みたい……。私は、咄嗟に駆け寄ると、倒れている男に声を掛けた。
「だ、大丈夫ですか!?」
私の行動に継いでエレンブラも駆け寄り、声を掛けた。
「ねえ!大丈夫?ボクの声、聞こえる?」
男に反応は無い……ふと、最悪の状況が脳裏を掠める……。
「エレンブラ……もしかして、もう手遅れなんじゃ……。」
「え、ええ?!それって……死んでるって……こと?」
急に背筋に冷や汗が流れた。手は震えて、腰は抜けてしまって動けない。どうしよう……必死で私は男の体を揺さぶった。すると、
「う、う〜ん……どうしたのだ?地震か?」
「!!!!」
男は目を擦りながら、ムクッと上体を起こして辺りをキョロキョロと見回した。
「ん?お嬢さん方、どうなされました?」
「え?だって、貴方が倒れていたから……。」
男は暫しポカンと口を開けていたが、思い出したのか深々と頭を下げてきた。
「そうだったのですか!これはかたじけない!!不肖ケイナスこのご恩は一生忘れませぬぞ!!」
「そ、そんな、一生だなんて、ねえ?エレンブラ。」
「そうだよ!ボク達はただ起こしただけだから。」
ケイナスと名乗った男はバッと立ち上がると、右手を胸に当て、軽くお辞儀をした。
「いや、あなた方は拙者が空腹で死に掛けていたのを救ってくださった。もしあのままだったら、拙者は恐らく……。」
「なんだ。お腹が空いてるんだ。ね?シャルさん。この人に何か食べさせてあげようよ。」
「そうね。それが良いと思う。」
こうして、私達はケイナスにご飯を奢ってあげた。
「いや、かたじけない!!助けてもらった上にこのような食事までさせて頂けるとは、ケイナス、感謝に耐えませぬ…。」
「アハハ、ケイナスって何か喋り方面白い♪ところで、これから何処行くの?」
すっかりエレンブラはケイナスが気に入ったみたい……。あれから三十分くらい話してるけど、ケイナスは別に悪い人じゃないって事は分かった。後、喋り方が面白いって事も……。
「拙者、シャル殿とエレンブラ殿を守り抜く所存です!」
え?それって私達について行くって事?どうしよ、変な事になってきたみたい。
「べ、別にそこまでしてもらわなくても、私達は見返りを求めて助けたわけでは無いですから……。」
「いえ、拙者の住んでいた所の教えで、命を救ってくれた者は、命を賭して守れとあるんです。拙者、武人の端くれ、この教えに背くと言う事は、死よりも辛いこと……。別にくっ付いて回るというのではありませぬ。シャル殿やエレンブラ殿が危険に晒されぬよう、またもし危険な目に晒された場合に、拙者が守るといっているだけです。」
といわれても……。はぁ……仕方ない…か。多分拒んでも付いて来るだろうし……。
「分かりました……。それじゃ、私達は屋敷に戻りますから、付いて来てください。」
「なんか友達が増えちゃったね。ま、いいか♪ケイスもきっと仲間は大勢に限るって言うだろうし。」
「おお!ありがたき幸せ!!」
「……………。」
「それじゃ、ケイスの屋敷に出発!!」
こうして、私達はケイナスと知り合ったのです。……なんか、違うような気がするんだけど………本人はもう覚悟決めてるみたいだし……どうこう言っても付いて来るんだろうなぁ……ま、これも何かの縁だと思うしかない、か……。
「シャルさん〜!遅れますよ〜!」
「シャル殿〜!!急がれよ!!」
「はぁ………。」
外伝おわり(^▽^)
「うわーーー♪賑やかだねぇ。シャルさん!」
「そうね♪凄く活気に溢れてて、皆の顔も活き活きしてる。」
街の人はみんな笑顔が溢れてて、私の心はとても温かい気持ちになった。ケイスって上手く取り締まってるんだ……。視線を右に左にと泳がせていると、エレンブラが肩を叩いてきた。
「ちょっと、シャルさん。ドレス屋過ぎてますよ!」
「え?ああ、ゴメン!ちょっと目移りし過ぎちゃったみたい。」
「無理もないよ。カルナムールは辺境地帯の中じゃかなり活気付いてる街なんだし。」
エレンブラが言うには、王都から離れれば離れるほど、活気は減ってくるらしいの。物資の調達や人の流通が少なくなるから、らしいんだけど……。
「よし、それじゃドレス仕立ててもらお♪」
「うん!」
エレンブラは慣れた様子でドレスの仕立てを頼むと、まだ若干の時間が掛かるらしい…。私達はその空き時間を利用して、カフェで話す事にした。
「ね、シャルさんって見た目はすっごい若く見えるんだけど、実際は何歳なの?」
「え?私は21歳だけど……。」
そっか、彼女はまだ私が異世界「ギエルハイム」から来たって知らないんだっけ……。容姿は都合が良い様に15,6歳の頃の私に変えてあるんだった……。
「えーーー!?ボクより2歳も若いんだぁ。ビックリ!!でも、ボクなんかよりも随分大人な雰囲気だよね。恋愛もなんか凄そうだし……何より、その容姿で21じゃ、もはや犯罪だよね♪」
犯罪??私何か悪いことでもしてるのかな?
「私、何か悪いことした?」
「え?!アハハ、違うよ。シャルさんの見た目が少女っぽいでしょ。少女は法律で不純な事はしちゃいけませんよって事になってるから、実年齢が21歳って事は別に不純な事でも出来る、でも見た目はやっちゃいけない年齢に見える……だから、犯罪♪」
そう、なんだ。コッチは少女が体を交えるのは犯罪なんだ……。
私は漸くエレンブラの言葉の意味を理解すると、残っていたコーヒーをグイっと飲み干した。
「そろそろ、かな?」
エレンブラが店の時計に目配せすると、残念そうに呟いた。
「あれ?何か残念そう……。」
「だって、ボクもっとシャルさんの恋愛話を聞きたかったのに。」
「フフフ、それなら何時でも出来るじゃない。ケイスのお屋敷に一緒に住んでるんだし。」
「そ、そうだよね!よ〜し♪ドレスを取りに行こう♪」
納得がいったのか、エレンブラは急に明るさを取り戻すと、私の腕を引っ張って、ドレス屋に仕立ててもらっているドレスを受け取りに向かった。でも、私の話をもっと聞きたい……か。フフ、嬉しいな……。
「おう!お嬢ちゃん達!!これ、どうだい?今なら安くしとくよ。なんたってお嬢ちゃん達は美人だもんな♪」
「フフン♪そんな当たり前の事言っても、ボク達は買いませんよ〜だ。」
街の商人とエレンブラの会話を聞いてると、自然に笑みが零れて来た。こんなにアウヴァニアってあったかいんだ……。このまま……ずっと過ごせたらいいなぁ……。
「シャルさん!!」
突然のエレンブラの緊迫した声に私は我に帰った。何やら怯えている様子のエレンブラが指差した方向を見て、私は背筋が凍った。
「え?!……うそ……人が、倒れてる……。」
20代と見受けられる若い男の人が、路地の脇でうつ伏せに倒れていた。腰に剣を挿している所からして…どうやら剣士みたい……。私は、咄嗟に駆け寄ると、倒れている男に声を掛けた。
「だ、大丈夫ですか!?」
私の行動に継いでエレンブラも駆け寄り、声を掛けた。
「ねえ!大丈夫?ボクの声、聞こえる?」
男に反応は無い……ふと、最悪の状況が脳裏を掠める……。
「エレンブラ……もしかして、もう手遅れなんじゃ……。」
「え、ええ?!それって……死んでるって……こと?」
急に背筋に冷や汗が流れた。手は震えて、腰は抜けてしまって動けない。どうしよう……必死で私は男の体を揺さぶった。すると、
「う、う〜ん……どうしたのだ?地震か?」
「!!!!」
男は目を擦りながら、ムクッと上体を起こして辺りをキョロキョロと見回した。
「ん?お嬢さん方、どうなされました?」
「え?だって、貴方が倒れていたから……。」
男は暫しポカンと口を開けていたが、思い出したのか深々と頭を下げてきた。
「そうだったのですか!これはかたじけない!!不肖ケイナスこのご恩は一生忘れませぬぞ!!」
「そ、そんな、一生だなんて、ねえ?エレンブラ。」
「そうだよ!ボク達はただ起こしただけだから。」
ケイナスと名乗った男はバッと立ち上がると、右手を胸に当て、軽くお辞儀をした。
「いや、あなた方は拙者が空腹で死に掛けていたのを救ってくださった。もしあのままだったら、拙者は恐らく……。」
「なんだ。お腹が空いてるんだ。ね?シャルさん。この人に何か食べさせてあげようよ。」
「そうね。それが良いと思う。」
こうして、私達はケイナスにご飯を奢ってあげた。
「いや、かたじけない!!助けてもらった上にこのような食事までさせて頂けるとは、ケイナス、感謝に耐えませぬ…。」
「アハハ、ケイナスって何か喋り方面白い♪ところで、これから何処行くの?」
すっかりエレンブラはケイナスが気に入ったみたい……。あれから三十分くらい話してるけど、ケイナスは別に悪い人じゃないって事は分かった。後、喋り方が面白いって事も……。
「拙者、シャル殿とエレンブラ殿を守り抜く所存です!」
え?それって私達について行くって事?どうしよ、変な事になってきたみたい。
「べ、別にそこまでしてもらわなくても、私達は見返りを求めて助けたわけでは無いですから……。」
「いえ、拙者の住んでいた所の教えで、命を救ってくれた者は、命を賭して守れとあるんです。拙者、武人の端くれ、この教えに背くと言う事は、死よりも辛いこと……。別にくっ付いて回るというのではありませぬ。シャル殿やエレンブラ殿が危険に晒されぬよう、またもし危険な目に晒された場合に、拙者が守るといっているだけです。」
といわれても……。はぁ……仕方ない…か。多分拒んでも付いて来るだろうし……。
「分かりました……。それじゃ、私達は屋敷に戻りますから、付いて来てください。」
「なんか友達が増えちゃったね。ま、いいか♪ケイスもきっと仲間は大勢に限るって言うだろうし。」
「おお!ありがたき幸せ!!」
「……………。」
「それじゃ、ケイスの屋敷に出発!!」
こうして、私達はケイナスと知り合ったのです。……なんか、違うような気がするんだけど………本人はもう覚悟決めてるみたいだし……どうこう言っても付いて来るんだろうなぁ……ま、これも何かの縁だと思うしかない、か……。
「シャルさん〜!遅れますよ〜!」
「シャル殿〜!!急がれよ!!」
「はぁ………。」
外伝おわり(^▽^)
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