ともだち

2005年1月14日
人は恋心を抱く生物。 それが純粋なのか不純なのか、分からないが少なくとも誰かを好きになる事は恋といって良いのだろう…。

私の友人の一人も、今恋に悩んでいる…。
 彼はずっと一人の女性を想い続けている。寝ても覚めても、どこへ出掛けても……。

一度は私や他の友人達の激励もあり、恋文という形を取って彼女に心中に詰まる想いを伝えた。

後日、私と友人は某デパートに遊びに来ていた……。丁度昼食時…友人の携帯に一通のメールが届いていた。紛れも無く、想い人からの返事だった。友人と私は恐る恐るデジタルの文字で書かれた文面をなぞった。

結果は“桜散る”だった。理由は一つ、彼女にも友人の様にずっと想い続けている男(ひと)がいる…それだけだった。

それから何ヶ月か経ち、友人は想い人に彼氏が出来ているのを偶然にも目撃してしまった。表面上は、「良かった」と言っていたが、私には無理からの言に聞こえた。死ぬほど好きな人に恋人が出来て嬉しいハズなどない……。彼女が幸せになってくれるなら自分も喜ばしいと思い込む事で、辛い現実から逃避しようとしていたのかもしれない………。

更に時は移ろい、友人も吹っ切れたかと思ったが、彼はまだ彼女の事を好いていた。しかも、振られる前よりも更に想いは募っていた。彼女を想っては涙を流す日常を、彼は送り始めたのだ。

諦められないなら、もう一度だけ想いを伝えろ……私はそう友人に助言した。しかし、友人にそれを遂行するだけの気概は無かった。彼は優し過ぎるのだ。彼女と彼の仲に、自分の手紙が介入する事で仲違いが起こるのではないか…そう懸念され、彼の手は手紙を握り潰した…。

進退の無いままに月日だけが過ぎていく…。そして、その月日と同じ数だけ友人の想いも募っていった。人気が少なければ駅のホームでも涙に咽ぶ日が来るようにもなった。偶に電車の中で想い人の姿を写し見れば、涙は自然と溢れ出る……。彼女が他の男と話していると、ただの友人と理性が判断できても、本心が痛みを覚えそれに耐える日も来た。

だが、彼はそれでも彼女と彼氏を祝福しようとした。どこまでも優し過ぎた……。彼女の幸福を純粋に願う彼の心は、時として痛烈なまでに真摯に働いていた。

私は友人に最近は事頻繁に助言をしたり相談に乗ってやったりしている。それは友達だからじゃない……長い月日を共に一喜一憂しながら、時には考えの相違から異見し合った“親友”だからこそ、私は迷う事無く彼を応援している。時には厳しい言葉を投げるが、私は彼の純粋な人を想う心を摘みたくは無い……。

友人は決して器用な人間じゃない。だが、彼は他の誰よりも一人の人を想い続けている……否、愛している。その人の為に流す涙がどれほどの意味を持つのか……彼女は知らない。友人はあくまでも彼女の前では気丈に振舞っている。心を張り、前を見据えている……。心の糸を緩めたが最後、彼は泣き崩れるかもしれない……。

私も決して器用な人間じゃない。だが、他の誰よりも友を応援している。彼の為に尽力する事を惜しみはしない……。

何故なら、彼は私の何者にも変え難い“友”だから……
     彼は純粋に人を愛する事が出来るから……
     彼は優し過ぎるから……

私はずっとずっと、友人を応援している……。

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